注文靴とは


 ご本人の健康状態、睡眠時間の不足、お足の疲労度によって、むくみが大きくなり、魚の目は痛さをましてきますので、その時その時で、きつい、緩い、の感覚が違います。又、同じ寸法の人でも、木型の選択に大幅な違いが出ることがあります。
 とにかくカカト周囲を程よくグリップして、アーチを心地よくホールドして、指の付け根から指周辺がきつくなく、緩くなくサポートをして、しかも爪先に、適切なゆとりのある靴が履き良さの条件です。それをご本人のお足で、試し履き靴を履いて、カカト周辺の感触の良さの確認から始めて、各部分を確認して、程良いフィット感を選択していかなければ、絶対に履き良い靴に到達しません。すべてをご本人に決めて頂くのです。ヒールの高さは3cm迄、カカト周辺とアーチがしっかりフィットした靴をお履きになれば、アーチや、くるぶしを痛めるのを防止できますし、外反母趾にもなりにくくなります。
 まず採寸をします。お足の周辺を描き、前後最長部分(足長)を計り、親指と小指の付け根部分の周囲を計り、甲中央部分を付け根部分に平行して計ります。足長に対する甲周りの長さの比較で、甲高、幅広、細足、甲低、指短め、指長、小指小さめ、カカト大小等が解ります。そういう形状は遺伝、行動環境(10歳位までに歩行が十分であったか、車に頼り過ぎてしまったかという理由で、土踏まずの形成はその年齢迄で決まります)、食生活等がお足の発達に影響してきます。
 昭和20年代の人までは比較的甲高の割合が多く、指が大地を踏みしめるようにできあがっております。昭和35年以降、特に昭和40年代の人は大変細足になり、小指が小さく、親の世代とは様変わりしております。大変上品になり過ぎて、ハードな仕事にはむかないようなお足になっています。昭和50年代以降の人は比較的、各指がしっかりしたお足の人が多くなりました。理由として、その世代の幼児期に、ディズニーランドで1日中歩き回り、フィールドアスレチックスで遊び、学校での部活、郊外型のハイキングなどの運動量の増加が、良い結果をもたらしたものと解釈出来ます。甲高は大地で鍛えて出来あがったお足、細足は都会的というか、過保護にされたお足と大別出来ます。
 各部分に無理と負荷のかけ過ぎが、その部分を変形させていきます。特に怖いのはアーチの倒壊現象です。このようなお足の人は幼児期に過保護にされ、小指が小さく、親指または人差し指を頂点にして、尖ったトゥの形をしています。踏ん張りが効かないので、お足がふらつきやすく、よろけるたびに、土踏まずの骨がずれ、くるぶしも内側にずれ、その周辺は腫れて、くるぶしが脱臼状態になります。後天的にO脚の様になり,最終的には、歩行が困難になり、足首の機能を失う人もおります。外反母趾になる方は、トゥを外向きにされて、親指に体重をかけて歩かれる方に目立ちます。特にいそがし過ぎる方、睡眠不足の方、血行の悪い方、血圧の低い方、そして仕事で疲労しているのに、運動をし過ぎる方は、進行が早いようです。
 アーチが低くなった方も、外反母趾になられた方も、大事なことはカカト部分と、アーチ部分と、そして指の側面をご本人が心地良く思われるフィット感で作らせて頂くのが注文靴です。きちっと密着させる程お足の為にもなり、疲労しにくい重要な条件です。外反母趾の方の靴幅でも、ただ緩るければいいと言うものでもありません。母趾は親指の付け根部分の変形ですが、各指の間に隙間が出て幅が広がり、一層外反母趾を強調します。その隙間は程良く、きつくない、緩くもない程度でお履きいただくと、作らせて頂くたびに、隙間が少なくなって、細めになっていく方が多く見うけられます。また、体重が2kg増減すると木型まで変更することもあります。
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